悩む前に動いた話

寒いときに寒いところに行く人なんて酔狂だと思っていた。
年始は少し前まで沖縄で過ごすことが多かったから尚更だ。
ただ、冬の白川郷に行ってみたいなぁとぼんやり思っていたので、朝から車で出掛けた。
本当に適当だった。とりあえず東に向かうか…と新名神に乗ってしまう程度に適当だ。
で、白川郷は積雪通行止めとやらで辿り着けず、郡上八幡に降りた。
山から吹き下りてくる風の冷たさに震えた。
久しぶりのM2とズミクロン35mmのコンビでぶらり散歩。
http://www.flickr.com/photos/126161047@N02/31631047615
Leica M2 Summicron 35mm/f2 Kodak 400TX
慣れてりゃOKなのか…。
http://www.flickr.com/photos/126161047@N02/31484375102
家々の間の細くて急な階段を降りると川べりを歩けた。
川べりの小道からも別の小道に入れるようになっていて、路地裏散策が面白い。
http://www.flickr.com/photos/126161047@N02/31484375102
Leica M2 Summicron 35mm/f2 Kentmere Pan400
2,3時間歩いて、蕎麦を食べた。
ここで食べた蕎麦がまた美味しくて、なんとなくきたこの町がけっこう好きになった。
寒さ対策も適当だったからそそくさと退散してしまったが、いい季節にまた来たい。


久しぶりにKentmere使ったけど、なかなか良いフィルムだと再確認。
とはいえ、やっぱりスタンダードに使うには400TXだなぁと言うことで、とりあえず、こちらの方を参考に米国から大量購入してしまった。
どうしようか悩む前にぽちった方が良い。間違いない。

 残骸と成長痛

「今年はあっという間だったなぁ…。どんな年だった?」
不意に問われて、不意に本音が出た。
「今年は苦悩した年だった…。色んなことにとにかく苦しんで悩んだ一年だった」
http://www.flickr.com/photos/126161047@N02/30462296253
http://www.flickr.com/photos/126161047@N02/30462315133
Leica M6 Elmar 50mm/f2.8 Kodak TMAX100
なんでそんなに悩んだり苦しんだりしたのかなぁと考えると、今ここにはないものの残骸を大事にしすぎたんじゃないかって少し思う。
色んな変化を去年はとにかく楽しめて、それなりに充実した日々だった。欲張れた一年だったんだと思う。
今年は、友の突然の死がとにかく大きな衝撃で、そのことでぽっかり失われてしまった世界がなんか恐ろしくて、とにかく何かを失うことを恐れ続けて、でも、自分の立場も環境も日々どんどん変化していっていて、とにかく苦しかった。
ただ、色々悩んで苦しんで、なんとなく人間として少し大きくなれた気がする。
成長は痛みを伴うものなのかもしれない。


痛みといえば、石内都さんの写真集をとにかく見ている。

フリーダ 愛と痛み

フリーダ 愛と痛み

色々な写真家さんの写真集を手にしてきたけれど、本当に素敵な写真家さんだと思う。

 やりたいことをやりたいようにする日

計画なんていう計画はなかった。
本当にただ思いつきと流れで、また尾道へ行った。
何度となく歩いて、毎回同じようで違う町の一面に出会えるのが良いなぁと思った。
日本全国津々浦々、カメラを構えて歩くより、気に入ったところに何十回と脚を運ぶ方が楽しいんじゃないかと最近思っている。
http://www.flickr.com/photos/126161047@N02/31125778642
Leica M6 Elmar 50mm/f2.8 Kodak TMAX100
http://www.flickr.com/photos/126161047@N02/31306157735
Leica M6 Elmar 50mm/f2.8 Kodak 400TX
今回は旧赤線を彷徨ったり、ことさらディープだった気がする。
お好み焼きを食べてビールを飲んで、朱の中華そばを食べて、帰りに雨後の月を飲んで帰った。
やっぱり思いつきでやりたいことをやって、食べたいものを食べて、飲みたいものを飲むっていうのが一番良い。


デジタルライカを買ったらフィルムライカ使わなくなるんじゃ…って思われがちだけど、やっぱりメインはM6みたい。
フィルムは高いけど、やっぱり楽しい。今回の400TX、シャープに現像しようとレシピより気持ち長めに現像したらドンピシャ。
撮った後も2度美味しい。
デジタルライカにカラースコパーつけたらマゼンタ被りが酷い。
ズマロンでもズミクロンでも出なかったのにどうなってるんだ…。
そんなこんなでデジタルライカへの愛着がいきなり冷めている今日この頃。

 今を大事にしたい

今年は失うものが多かった。
得たものよりも手放してしまったものとか、どこか行ってしまったものとか、不意に失くしてしまったものが多かった。
今でも行ってしまったものを感じると、悲しくて、あぁもうダメだなぁって小さな絶望を感じたりする。
http://www.flickr.com/photos/126161047@N02/30918569136
Leica M typ262 Summaron 35mm/f3.5
あんまり前を見すぎたら、つまずいて転んでしまいそう。
もっと今を大事に生きていきたい。

 壁の傷

何事もうまくいく時があれば、何事もうまくいかない時もある。
「やってらんねえな」って思っちゃえば、その思いの通りにことが進むんだろう。
外的要因が強ければ、不満や愚痴も出て来るし、吐き捨てる言葉は汚くて鋭い。
http://www.flickr.com/photos/126161047@N02/30918363946
http://www.flickr.com/photos/126161047@N02/30866091351
Leica M typ262 Summaron 35mm/f3.5
人間様に向けられない感情を壁にぶつけたのかな。
「落書きとナイフと不良少年」っていう少し古い唄を思い出した。


最近話題の電通の件でも、いじめの件でもなんでもそうだけど。
本当にうまくいかなくなったら、とっととその環境から逃げてしまった方がいい。
闘うだけ無駄なことってあるし、”世界”は職場や学校とかそんな閉鎖されたところにはない。


いつものカフェで初めてマスターと会話した。
自分のいろんなことを知られていた。少し小っ恥ずかしかったけど、嬉しかった。
出張先で写真家さんにポートレート撮らせてくれと頼まれた。
人に写真を撮られるってなんか幸せな気分になれると知った。


いい人に出会えば世界って少しずつ広がるもんかも。

 束の間の晴れ間と冬の足音

天気予報は晴れなのに雨が降っていた。
空には晴れ間が見えたから、歩いていたら晴れるだろうと、新しいライカと”いつも”のズミクロンを掴んで家を出た。
http://www.flickr.com/photos/126161047@N02/30238921043
Leica M typ262 Summicron 35mm/f2
三条大橋でみんながスマホで写真撮っていて、なんだろうと思ったら虹。
いよいよ雨も止むだろうと歩き出す。
http://www.flickr.com/photos/126161047@N02/30757492412
日差しが温かかったのもほんのひと時だった。
とにかく冷たい雨だった。お気に入りのカフェでのんびりランチしてたら晴れてきたので飛び出す。
http://www.flickr.com/photos/126161047@N02/30572767500
結局曇天から冷たい雨が降ってきた。
本当にビックリするほどの冷え込み。
いよいよ冬だ。


Leica M typ262を初めてまともに使った。
正直なところ、M6持ち歩いてるのとほとんど同じ感覚なので、違和感もなければ新鮮さとか感動とかはない。
撮影後プレビューをオフにしていると、本当にフィルムライカと同じテンポで撮影できる。
ライブビューが付いていないし、ISO感度の変更以外では背面液晶を見ることがない。
これは本当に良い。被写体だけに集中できるし、神経質さもない。
フィルムライカから持ち替えて違和感がないってのは結構すごいことなんじゃないかと思った。
雨さえ降らなきゃもっと色々行きたいところもあったのが無念。

 デジタルライカよ、こんにちは

前回の記事で色々と書いて、色々と触った結果、気にいるカメラはなかった。
どれもこれもデジタルの時代というのにボタンが多くて操作や設定項目が鬱陶しいほどに羅列されている。ファインダー内表示ももっとシンプルで良い。
妥協して買っても使わないことはフィルムライカを使いはじめて他のカメラを使っていない現状を考えればわかったことだ。
清水の舞台から飛び降りることにした。

ライカ デジタル WORLD (日本カメラMOOK)

ライカ デジタル WORLD (日本カメラMOOK)

デジタルライカを買うにあたって悩んだことは大きく分けて二つ。
一つはセンサー。M9系で採用されていたCCDか、M typ240から採用されたCMOSか。
未だにM9系の画質の人気度は高いから、ここはかなり悩んだ。デジタルライカのレビュー記事や比較記事があまりに少なかったのも頭痛のタネだ。どうせこの金額出すなら新品のライカを買ってやろうと思ってCMOS採用の現行機に決めた。
二つ目は、typ240かtyp262か。ここで悩んだ理由はただ一つ。typ240がブラックペイントに対してtyp262がM6と同じブラッククロームなところ。製品コンセプト的にtyp262の方が好感が持てるのだが、ペイントかクロームかの差は大きい。
ライカ京都店で両方触って確かめた。typ240は重すぎる。あんなにじっくりライカ京都店でライカを触って店員さんとお話ししたことはないだろう。
小汚い格好で寝癖つけたまま行ったことは少し後悔しているが、店員さん良い人だった。


結局、typ262を購入した。

キャッシュバックキャンペーンとかやっていて色々とお買い得だったけど、お買い得とはいえやっぱり新品でライカを買うことはもう二度とないと思う。
家族からは今後5年間のカメラへの投資をしないことを約束させられた。
レンズへの投資はまた別の話だと信じて、デジタル世代のレンズが一本欲しい。