キレイな恋

最近、近所に大型のショッピングモールが出来て、なかなかすごい本屋ができたので、さっそく散策してきました。本当はフロイトの「夢判断」かノージックの「アナーキー・国家・ユートピア」なんかを買うつもりで行ったんですけど、たまには小説でも読もうと思って、文庫本コーナーでパッケージだけで本を選びました。基本的に、タイトルと表紙だけで小説は買うかどうかを決めるので、今回はたまたま石田衣良の「親指の恋人」と「夜を守る」を購入。
石田衣良の作品はテンポよく読めるので気軽に読めるところは好きです。ただ、正直、嫌いな作品も多いです。
とりあえず今日は「親指の恋人」を読みました。

親指の恋人

親指の恋人

表紙デザインがものすごくかわいくてお洒落。
感想はめっちゃ別れる作品だろうと思います。実際にAmazonでも大きくわかれてますね。まぁ、実際、ストーリーは陳腐だと思います。
でも、僕はけっこうこの作品が好きだったりします。なんかすごいキレイなんですよね。恋人同士が心中する作品ってなんかすごい日本的だし、すごいキレイな純愛だと思うんですよね。
ただ、すごく違和感があったのも事実。自殺に関して、ものすごく遺族感情を前半で追いかけているのに、結局、主人公は自殺しちゃうこととか。
日本って死人に鞭打つのどうなのよって感じですごい有耶無耶にしてしまうけど、自殺って結局周りの人傷つけるわけで、でも傷つけられた人はその傷の責任を誰かに問えるわけでもないってすごいとんでもない話で、犯罪だと思うんですよね。だから、恋を、愛を守るために死にました。ってそうとう迷惑な話なわけです。
だから、僕もこの作品を「キレイ」って表現したけれど、現実の世の中は歪んでて狂っててキレイなものはまかり通らないので、こういうキレイな恋は小説の中だけにしてほしいなって思います。