四万十・足摺ツーリング〜その2

平日よりも早く目が覚めた。速攻で出掛ける準備。
連泊だと荷物が減らせて楽だ。この日はフロントバッグに最低限の荷物を入れて何も背負わずに走ることにした。
たらたらと市街を抜けて、まだ半分寝ぼけた状態だったのにいきなり登りになった。

ふと路肩を見ると路面凍結してる箇所がある。こんなに日差しの強い土地なのになかなか不思議だった。

一つ山を越えると海が見えた。そう、太平洋。真っ赤な太陽に真っ青な海。瀬戸内に育った僕にとって太平洋は大き過ぎる。
海を見ながら走って行くと大岐の浜矢印の看板が。あぁ、そんな景勝地あったっけな…と地図を思い返しながら左手を見ると雄大すぎる浜が。

遥か彼方まで続いて行く白い浜。あまりの光景に吃驚した。はやる気持ちを抑えながら浜辺まで降りた。

遠くのほうでサーファーたちが波に興じている。

海だけじゃない。後ろを振り返れば白い浜と緑の山、そして青い空とすごいコントラスト。
まだ今日の旅は始まったばかりなのにこの満足度。やってくれるぜ土佐清水。
大岐の浜をあとにしていよいよ足摺半島へ入った。入ったとたんに道が一気に悪くなる。

バイパスを通ればなんてことはないのだが、せっかくだから奇麗に一周してやろうと海沿いの遍路道を行ったからだ。
路面に気をつけながらアップダウンをこなしていく。気持ちのいいアップダウンでまったく疲労感はない。下った勢いで登れるからかな。
ちょっと木が生い茂って薄暗い道になったと思ったらすぐのところに天狗の鼻の案内が。こんなに近いのか足摺岬

木のトンネルをくぐった先に見たもの。

世界の果てみたいな絶景と

果てを見据える灯台の姿。
そう、紛れもなくここは四国の果て。最南端なんだ。

実は最南端とか最北端とかって場所に自転車で行くのは初めてだったからこの最南端の石碑には少し感動してしまった。ホントにきちゃった。
足摺岬周辺には色々と観光的なものがあるみたいだったけど、あんまり興味が沸かなかったけど、白山洞門が見れる足湯には入ろうと思っていたのでそこだけ行った。

白山洞門に足をかけてるみたいで面白い写真になった。
けっこうお腹が空いていたんだけどまだお昼には早い気がして足摺で食べるのはやめて出発した。
海奇麗だなーと黙々と脚を回す。

気がつくと少し体調がおかしい。偏頭痛というかぼーっとする。朝食もろくに食べてなかったし補給は飴だけだったからハンガーノック寸前だったかもしれない。
とにかく何か無いかと探すも何もなくて、がんばって足摺黒潮市場に到着。

鰹のタタキをかきこむ。生き返る。腹が減っていたからか、こんなにおいしいご飯は久しぶりな気がした。

さて、次は見残し海岸へ行こうか。
駐車場というか行き止まりまで自転車で行ってちょっと歩くくらいと軽い気持ちで歩き始めたんだけど、まったくゴールが見えない。

ビンディングシューズがすべるすべる。30分近く滑りながら歩いてやっと海岸へ出た。

波が高くて少し怖かったけど奇岩がたくさんあって見応え十分。

遊歩道なんて生易しいもんじゃないけど一応歩けるようになっていて気付いたら1時間近く遊んでいた。
見残し海岸のあとも竜串あたりの海岸線は左側に奇岩が多くて飽きさせない。

あっという間に大月あたりまできた。
宿毛からは輪行する予定だったけど、大月から宿毛まではまだ少し距離がある。でも、大月は山道で特にこれといった楽しみはないし、モチベーションを維持して走るのが少々難しかった。途中で野生のサルが飛び出して来たときくらいしかテンションはあがらなかった。逆風がかなり強烈だったのもあるけれど。

このあたりはだるま夕陽が有名らしい。この日は落ちる角度的にだるまにはならない日だったけどそれでも十分に奇麗な夕陽を見ながら走った。
もう目の前は宿毛駅だった。

JR四国の果ての駅、宿毛

1両編成の電車で輪行って初めてで邪魔にならないか心配したけど利用客もまばらだった。やっぱこの辺りは車社会なんだろう。

電車の時間にちょうどいい時間に宿毛駅について輪行できたこともあって夕飯は四万十市で食べることにした。
実は初日に満席で断られてしまった居酒屋さんがすごい良い感じだったので、この日こそ行きたかったのだ。
食酔亭 元屋さん。ずっと食べ損ねていた清水サバと鰹の刺身を頼んだ。

ボリューム満点ですっごく新鮮な甘いサバ。お酒がすすむすすむ。自転車でさんざんカロリー消費した後は気にせず食べれるのが嬉しい。
一番感動したのは握り寿司がおいしかった。5貫で500円って値段も破格だったし、口の中で上品にとけていくネタに思わず笑顔になれた。


目も舌も心も豊かになった二日目はこうして幕を閉じて行った。二日目は時間を気にせず走れたおかげで大満足だった。三日目はもう決まっていた。
初日に駆け足で終わってしまった四万十川ポタリングペースでのんびりと。自転車旅を拘束するものは一つだけ、それが時間。
時間に追われて満足出来ないで終わるわけにはいかない。そりゃそうだろ?


走行距離:116.8km
av:19.5km/h

撮影:GXR A16,GR DIGITAL II