バルナックライカに見るロマン

そもそも直るかどうか分からなかったから入手したことすら黙っていた話。
いつもお願いしているカメラ屋さんでも半分お手上げ状態だった僕のバルナックカメラが返って来た。
ボディと年代の違う駆動部が入っていたりして、中身がかなりチャンポン*1だったらしい。実際に修理に出す前に使ったら巻き上げがゴリゴリ、36枚撮でも20枚程度でトルクが抜けて巻き上げられない、どんな絞りでもちゃんとピントがいかないなど、問題だらけで多分前の所有者は使いもせずに長い間放置されていたようだ。
一つ一つ問題を再現して対応して…と時間はかかったけどほぼ完璧に直してもらえた。「ごめんけど、もう二度とやりたないわ…」とは言われたw


バルナックはLeica DII以外にはほぼ興味がなかった。
DIIの素晴らしさについては下記を参照していただきたい。
aremo-koremo.hatenablog.com
理由としてはスローや1/1000は不要だったことがある。Leica M2を買うときにセルフ付きは端から除外して探したのと同じで、自分に不要な機能がついている機種はあまり持ちたくない。

すっきりとしたボディ前面。貼り革は茶色に変色してしまっているが、全く浮いていないので貼り替えは見送った。
ボディは1932年の初期出荷分、レンズは1934年のズマールである。
このズマール、曇りなしの良個体だったが、ボディと併せてオーバーホールに出して「限界までレンズ清掃」してもらった。
状態の悪い個体で撮って”ふんわり”だの”ゆるい”だのという評価は少し可哀想だ。しっかり映る良いレンズだ。
https://www.flickr.com/photos/126161047@N02/29423094147
Leica DII Summar 50mm/f2.0 Kodak 400TX
もちろん周辺は少し落ちるが、大キャビネに焼いた感じは非常に良好だった。


M型ライカを所有していることもあって、バルナックをメインに使うことはないだろう。
ただ、ライカというかカメラの源流と言っても過言ではない80年以上前のボディとレンズが今でも「普通に」使えることのロマンは果てしない。
使うかわからないこのボディをオーバーホールした最大の理由、それは2032年に、100歳となったこのライカで「普通に」写真を撮ってみたいと思ったからだ。
修理店等の問題もありこういう問題のある個体を直せるチャンスも今回を逃したら無くなってしまうかもしれないなど、色々と思うことがあった。
とにかく見事に直ったバルナックライカを大切に使いたいと思う。

*1:年代の違うLeica製が入っていたとのこと