時代を超える演算装置として

「レンズは資産」なんていうけれど、使わないレンズが増えていっても仕方ない気もする。
とはいえ、一度手放してしまうと二度と手に入らない気がして手放す気にならない。
気づけば、自ずとよく使うレンズとあんまり使わないレンズにはっきり分かれている。


GRがフルサイズになればいいなぁとかファインダーがあれば…とか色々思うこともあったけど全て解決した。
リコーが1997年に発売したLマウント版のGRレンズを買ってしまった。


しかしまぁ、このレンズ、とにかく後ろ玉のバルサム剥がれの個体ばかりだ。
古いレビューサイトを読んでいると、購入後5年ほどでバルサム剥がれに直面したユーザーが「不良品だ。リコールものだ」とかなり怒っていた。新品で89,000円のレンズで、当時のGRシリーズの販売価格を考えると、その怒りも十分に理解できる。
その割にバルサム剥がれてても今では平気で新品定価並みで売っている…その後のGRシリーズの躍進を喜ぶべきなのか…笑
ところで、実はこのレンズを買おうとするのは2度目だ。1度目は狙っていた個体を買いに行ったら入れ違いで売れていて、代わりにエルマリート28mm 4thを買った。
エルマリート28mm 4thは結構気に入っていて、球面なのにキッチリ写る反面、絶妙なゆるさもあって、扱いやすい。
GRレンズはタイミングが合えば手に入れようと思ってはいたけど、優先順位は低く、復刻版のズマロン28mm/f5.6で頭がいっぱいで忘れていた存在だった。


たまたま手に入った個体は、多分にもれずバルサム剥がれ個体。今までバルサム剥がれをしたリケノンとかも使ったことがあるけど、実際写りにはほぼ影響しなかったので、これはあまり気にしなかった。触って驚くのが重さ。小さなレンズなのに意外と重い。あと、造りがいい。
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実際にLeica M monochromにつけて使ってみたら、あまりに写りが頭に思い描いているGRそのもので笑ってしまった。
L1008148
L1008194
L1008189
L1008168
周辺減光と周辺収差は絞ってもそれなりに気になるが、フルサイズGRだ。
Leica MMの力もあるが、とても小さなレンズでここまで写れば上等。
なにせ使い慣れたGRの絵が出てくる。フルサイズで、モノクロームで笑


あと、どうでもいいんだけど昔のレンズとかって一昔前のレビューサイトの方がその時代のニーズとかもよくわかって参考になるし、「ちゃんと撮ったフィルム写真」を掲載してくれてるから大好きなんだけど、サーバーのサービス終了とか、インフルエンサー的志向のnote記事とかに追いやられて検索で引っかかりにくくなってるのが許せない。


落合陽一氏はレンズは演算装置という話をご自身のYouTubeチャンネルでされていたが、時代を超えていく側面もあるので、当時の生の声が容易に発信できる世代のレンズの生の声は聞いてみたい気がするのは自分だけなんだろうか。