時間の価値

一日の一番無駄な時間って通勤時間だと思う。
代わり映えのしない風景を押し競饅頭しながら眺めるなんて本当にバカバカしい。
それこそバカバカしいと思うのかどうかで価値が変わるのかもしれないが、どうにもやりきれない気持ちになることもある。
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Leica M2 Summaron 35mm/f3.5 Kentmere Pan400
最近、いつものカメラ店でオリジナルブラックペイントのM2を見せてもらった。
剥げて出てきた真鍮の感じが本当にかっこよくて、しかもリワイドプッシュ型だから、なおさら貫禄を感じた。
店主さんもM型ライカの中でM2が一番好きで、このブラックペイントの感じが出したくて色々と塗装屋さんと試行錯誤したけれど、経年のエイジングには勝てなかったと言っていた。
そういうのを聞くとなんか良いなぁと思ってしまう。
もしかしたら最初の所有者は塗装が剥げるのが嫌だったかもしれないし、後生大事に剥がれないように気を遣ってたのかとか考えると面白い。

時間が変わればモノの価値も時間そのものの価値も変わる感じが良い。

 デジタルだろうがアナログだろうが

漫画家の浦沢直樹氏がETVでやっている「漫勉」っていう番組が面白い。
特に、高橋ツトム氏の回が最高によかった。
デジカメで撮影した素材を画像処理して線に変えて背景にすることで思いっきり手数を省略していた。
そこからペンを入れるんだけど、「デジタルな線はやっぱり気持ち悪いからどれだけアナログに見せるか」を意識しているみたいなことを言われていて、なるほど…と思った。
今のデジカメもそうだけど、とにかく画質の向上というのは目覚しくて、目を見張るものがあるけれど、インスタとかでわざと色調を転ばせた写真が人気だったり、フィルム写真との境界線がわからないような写真が流行ってるのって、そういうことなのかなぁ。
http://www.flickr.com/photos/126161047@N02/29780777012
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RICOH GR10 Kodak 400TX
最近、デジタルのGRばっかり持ち歩いていていっぱい撮影して、いっぱいRAW現像したりして久しぶりにデジカメ使ってるぞ感があった。
でも結局、フィルムシミュレーターみたいなので、400TXやT-MAXなんかを選んで粒子感出したりして、あんまりフィルムと変わらないことしてるなぁと…。暗室で印画紙に浮かぶエロさはデジタルでは得られないけど笑
結局、デジタルだろうがアナログだろうが、こんな感じにしたい!ってのが一緒だったらやり方が違うだけで、そのベクトルは全く変わらないんだろうと思う。

 話半分、結果も半分

ふと覗き込んだ50mmズミクロンに波線状の何かが見えた。
半年前にオーバーホールに出した時に、抜けのいい綺麗なレンズですねって褒めてもらった自慢のレンズなのに。
嗚呼バルサム剥がれよ、こんにちは。


稼働率ナンバーワンの座こそ35mmズミクロンに譲っているけど、もともと大好きなレンズ。買換えも考えたけど、新しく買っても壊れる時は壊れる。
ガラクタか…。バルサム切れを治せるところ…。
ズマロンが曇り玉でダメダメだと言われた時に考えて躊躇した再研磨。
その時に調べた記事の中でバルサム剥がれにも対応って書いてあったのを思い出して電話をかけた。
ズマロンではしなかったのに、お気に入りのズミクロンが不良になった途端に速攻で駆け込むのもなかなかにズマロンの悲哀が感じられるので、ズマロンも一緒にお願いした。
依頼先はもちろん、山崎光学写真レンズ研究所である。


いろいろと伝説の工房であるが、結果から言うとズミクロンについては、ほぼ完璧に修復されて帰ってきた。
もともと抜けが良かったからか再研磨はされずにバルサム剥がれの修復のみ。これは嬉しかった。
で、ズマロンである。これはかなりガッカリだった。
開封してまずシルバーの銅鏡にこびりついたグリスのような黒い粘着物に驚いた。
クロスで綺麗に拭き取る。
レンズの中を覗くと同じようなグリスが、恐ろしく綺麗なまさに新品同様に研磨されたレンズの縁にこびりついているのが見える。
本当に縁なので写りに影響があるのかわからないが、そのグリスの散ったような極小さなドットが2点あって、そちらは絞ったら写る気がする。必ず試写をしているとのことだったが、どうなんだろうか。


そもそもズマロンはおまけで出したようなものだし、ここ以外では綺麗にならなかっただろうが、雑な扱いを受けたのかもしれないと少し微妙な気持ちになった。
ネット上では賞賛の嵐で、「神の手だ」なんて声もあるが、まぁ話半分に聞いとかないとなーというのと、やっぱりレンズは直に頼める環境じゃなかったらいろいろ面倒くさい。正直、クレームの電話を入れて再送して云々とか面倒くさいし、プロとしての結果がこれなのだから、再送してこれ以上の何かが望めるのであれば、そもそもされていると思う。
ズミクロンについては素晴らしい仕事をしていただいたので、2本分のお金でズミクロンを直してもらったと思って、ズマロンはおまけ作業してもらったくらいに考えようと思う。
まさに悲哀のズマロンである笑 週末連れ出してやろう。
http://www.flickr.com/photos/126161047@N02/29356751073


最後に一応。
やっぱり相性っていうのはあるわけで、僕にとっては鬼門だっただけで貴方にとってはそれこそ神が降臨するかもしれない。
ただやっぱり提灯記事につられて期待を抱いていた自分にとってはなかなかに微妙な体験をしたので包み隠さず書いただけだから腕が悪いとか言うつもりは全くない。


追記
今日、ヨドバシにてα7RIIにMマウントアダプターを付けてもらって、試写。
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うわぁと声が出た。
光学的にはやはり神だったか。恐れ入った。
仕上げはいつものお店に頼もうと思う。
しかしあのクモリ玉が…。
そして、α7すげえ欲しい。

 べた焼きの上をもう一度スナップする人

迫力のある写真がずらっと並ぶ。
圧倒された。
森山大道の写真展に行くのは二度目。
一度目に行った時は「写真が趣味です」なんて恥ずかしすぎてもう言えないなって思った。
今回は、「全然撮れてないな自分」って思った。
なんだろうこの人の写真は。
圧倒的すぎる。
http://www.flickr.com/photos/126161047@N02/29773762412
http://www.flickr.com/photos/126161047@N02/29773760992
森山大道といえば撮影枚数の多さがやっぱり有名で、都市をそのままコピーしているかのごとく撮る。
撮った後でそのべた焼きの上をもう一度スナップする感覚でプリントするというのだから、やっぱり写真界の巨人だと思う。
今回、神戸で撮影した写真が何枚か含まれていて、その中に思わず買いたいなって思うプリントがあった。
いつか本当に買おうと思う。

 旅にレンズ1本

しっかり撮りたいときと、そうじゃないときと。
少しカバンの中のカメラは変わるけど、基本的にカメラ1台レンズ1本に部屋に転がるフィルムを何本か。
35mmって画角がすごく旅向きだと思う。
欲張ってなんでも写したくなるけど、全部は入りきらない。50mmほどの割り切りは求められない。
あとで見て、何が撮りたかったんだか…ってなることもあるけど、それも含めて好きだなあ。
http://www.flickr.com/photos/126161047@N02/29132858994
http://www.flickr.com/photos/126161047@N02/29648271162
http://www.flickr.com/photos/126161047@N02/29135148563
http://www.flickr.com/photos/126161047@N02/29648271772
Leica M2 Voigtlaender COLOR SKOPAR 35mm f2.5 Kodak 400TX


何度も行っているような街だったら50mmで撮るのが楽しいかな。

 今ここで花と咲けよ

たまたま広島に行っていた。
広島の微妙にさびれた感じが好きだ。
田舎でもないけれど決して都会でもない。
ヨソ者には冷たいけれど排他的ってわけでもない。
中心地が悲劇の地であり浮かれるには少し暗い記憶も同居する。
http://www.flickr.com/photos/126161047@N02/29520205582
http://www.flickr.com/photos/126161047@N02/29595999876
http://www.flickr.com/photos/126161047@N02/29340319320
http://www.flickr.com/photos/126161047@N02/29520205982
Leica M2 Voigtlaender COLOR SKOPAR 35mm/f2.5 Kentmere Pan400
この街が底抜けにバカになる瞬間ってやっぱりカープなんだなって痛感した。
夜の街が爆発する感じに初めて遭遇した。
疲れていたこともあって、ばか騒ぎする街から少し離れて一息。
そばでは、老夫婦が可愛く「長生きした甲斐があったね」って言いながら乾杯していた。
ピースフル。


タイトルは「それゆけカープ」の一節から。
歌詞がすごく良いと思う。愛に溢れている。

 テーマとか目的とか

写真撮るときにテーマとか目的とか考えながら撮る人ってすごい人だと思う。
http://www.flickr.com/photos/126161047@N02/29487035266
http://www.flickr.com/photos/126161047@N02/29231621790
http://www.flickr.com/photos/126161047@N02/29487047836
Lomo LC-A Kentmere Pan400
ほとんど何も考えてない。
なんとなく「おっ」と思ったらフォーカスそれっぽく合わせてパチッ。
ロモのカメラはいまいちだけどフィルム通しちゃったし仕方ないなって歩き始めたけど、これ本当に何も考えなくて良い。
ライカは少し絞りだとか露出だとか考えるけど、これはこれでいい。


森山大道展に行きたいようで行きたくなくてうずうずしている。
書店で森山大道の写真集を片っ端から眺めた。
「犬と網タイツ」っていう最近のやつがすごく好きだ。あれは傑作だ。


OHに出しているレンズがあるのに、ほしいレンズがどんどん出てきて辛い。
エルマー35mm良いなぁ。


そろそろ暗室に行かないといけない。
自分のルーティーンを見つけに行くんだ。