アートを楽しめ

去年、初めてギャラリーでオリジナルプリントを買った。
著名な写真家のプリントをインターネットで買ったことはあったけど、リアルに買うのは初めてだった。
毎日というわけではないけどたまに広げて楽しんでいる。
今年、去年のKG+ フォトブックフェアで気に入った写真集の作家さんが大阪で個展をしているというので見に行った。
小さいサイズだけど毎日飾れそうなプリントを買った。オリジナルプリントを買う敷居は実際には全然ないと思う。
当たり前だけど写真集よりもクオリティは高いので、満足感は高い。
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いつの間にか欲しい機材がなくなっている自分がいた。
手元には10年連れ添ったカメラたちが居続ける。ピカピカだったGRは凹んだり塗装が剥げたしている。ライカだってそうだ。
でも、別にそれで十分なんだよな。
それで困ったことがない。あるかもしれないけどなんとかしてきた。
カメラの機能に左右される部分は写真っていうアートの枝葉の部分でしかないと思う。
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カメラメーカーが多い日本にあっては、メーカーの仕掛けたムーヴメントとアートの領域が曖昧で、実際はマーケティングじゃないのって思うことが多い。
実際にこれは海外から来たフォトグラファーの人が言っていた。日本はカメラ大国だから写真表現にももっと期待していたけど、マーケティングが支配していた…と。
別にそれはそれで文化だと思うし良し悪しじゃないと思うけど、どこかで線引きしておいてほしいなと思うことがあるのも事実だ。
まぁ、なんだかんだ言って、好きな写真を飾りたいし好きなものを撮りたいし好きな人を撮りたい。ただそれだけ。

 旅と写真と別れの2023

いろんなところへ行った一年だった。
北へ南へ西へ…。
いろんな素敵なものを撮った。いろんな価値観を知った。
新しく酒を飲む仲間が増えた。新しく一緒に旅をした人もいた。
今まで撮れなかったものも撮れた。また行きたい旅がある。


身近な人が急に逝った。
大好きな人たちが環境の変化でいなくなった。
日常が非日常になり続けた2023年だった。


新しく得たものと等しく、あるいはそれ以上に失うものは大きかったから、まだまだたくさん写真を撮りたいと思う。
今年も年末にモノクロフィルムを20本もらった。「がんばって撮り続けてや!」って言ってくれる人がいるから、ちょっと疲れていたけどどうしようもないけどスナップをフィルムでも撮ろうかなって思う2024。


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 さよなら最終兵器

チバユウスケが死んでしまって、なんか寂しいとか悲しいとか、あんまり実感も湧かなかった。
みんながSNSTMGEの話ばかりしていて、The Birthdayから追いかけ始めた自分はちょっと違和感があったりして。
The Birthdayは今後どうすんだろうと思っていたら、「解散することなく、その活動を終了」っていうなんかすごく腑に落ちる形だった。
見に行ってないツアーは多分無いから、自分にとって全てのアルバムが心の中で生き続けていて、NHKホールで途中でアンプが壊れてブチギレるチバとか大雨の中の服部緑地で楽しそうに歌うチバとか味園ユニバースで「PV撮るから映って帰れよ!」って煽るチバとか、曲を聴いていたら色々思い出す。好きなバンドがどんどんいなくなるけど、新しいバンドがライブハウスで新しいロックを演っていて、ロックンロールは音楽は確実に繋がっていってると思う。
訃報の後に、SHERBETSのライブがたまたまKYOTO MUSEであって、チケット取ったのも忘れていたし、なんかライブに行く気分でもなかったんだけど、とにかく浅井健一が好きだから出かけた。
ベンジーがステージに出てきて、すっとマイクの前に立って、一呼吸おいて「チバユウスケくんが亡くなったので、みんなで黙祷しましょう」って言って、みんなで長い黙祷をした。本当に静かだった。
啜り泣いてる人もいた。「みんなでしよう」って言えるのが、めちゃくちゃ俺の好きな浅井健一だった。
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ライブの帰りに夜の道をスナップしながら歩いて家へ帰った。何かしてないとちょっといろんなことを考えすぎてしまいそうだった。

帰り道は自分が最初にチバに出会ったとも言えるThe Birthdayの「Rollers Romantics」を聴いていた。2006年の夏に広島でThe Birthday浅井健一の対バンを今は亡き友達と見に行ったことを思い出していた。
あの時はめちゃくちゃ怖かったなぁ…なんて思い出し笑いをしながら、寒空の京都であの頃と変わらずに鳴るロックンロールと過ぎ去った月日を思いながらただ歩いた。
さよならロックスター。俺の生きる燃料だったよ、ありがとう。

 知らないところへ行こう

怒涛の日々が終わった。
今年はとても忙しくて、B.L.T.こそなんとか頑張ったけど、それ以外に展示に出そうとかいう気にもならない。
あと、写真ギャラリーなんかにも本当に見たいものや興味があるもの以外にはあえて行かないようにしている。
「熱」がないのに行ってもあんまり意味がないなって思いからだ。少しでも熱があれば見に行こうとは思っているのだけれど。
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10月も11月も実はちょっとばかしの旅に行っていた。予定調和ではない、ほんとうの旅。
11月の旅はずっと昔から行ってみたいと思っていた西九州の街からさらに西の島でとても有意義だった。
もう少し体力があったら…と思うシーンもあったけど、まぁやれることはやった気がする。
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10月も11月も産業遺構みたいな場所に行ったんだけど、かつての成長期を知らない僕らからしたら、信じられないような話や遺構がたくさん残っていた。
いつかなくなっていくべきモノだと思うんだけど、そういうものをフィルムに残しておくというのが意味がある気がする。
そして何より、自分の足で歩いた場所と人から聞く話は全く別のものだということ。
多分もうなかなかいくことはないと思うけど、忘れられない旅だった。

 身体が資本というけれど

今年の夏はいろんなところに行った。
富山にも行ったし鹿児島にも行った。記憶を巡ると結構楽しいことが多かったのかもしれない。
でも、なかなか思うように動けなかったなと思う。
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鹿児島に行ったときに、一緒に行っていた人が流行り病に罹っていて、濃厚接触っていうことで自主隔離に追い込まれた。
その時は毎朝検査して体温を報告して…って日を何日か過ごしたんだけど、5類になったとか言っても、感染リスクが下がったわけじゃないもんな…と思うのと、医療体制も限られる地方の仕事だと都会と同じような話にはならないだなってホテルの中で思ったりしながら、過ごした。
結局のところ自分にはうつってなくて、最後に少しだけ指宿温泉に行ったりしたんだけど、それ以外は夜中にちょっとスナップしに出かける程度になったのは残念だった。まぁ、ある意味では良い経験だった。あんなにぼーっとすることないだろうし。
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なんにしても今年の夏は異常と言えるほど暑くて、カメラを持ってどこかに行って…なんて頭にはあまりならなかった。
いつものようにGRを持ち歩いてパチパチ…程度。
そのGR、去年の夏におかしくなって、今も騙し騙し使っている。
なんかたまに鏡胴がロックされちゃってうんともすんとも言わなくなるんだよね。モーターがおかしいのかなって思っていたけど、基盤の問題らしい。
GR2は今でも直してもらえるけど、GRは無理なんだって。ほとんど同じパーツなのに納得がいかない。
ま、あんま困ってないし許してやるか。
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今年のB.L.T.をやって、なんとなくいろんな「解」が生まれそうだったけど、まぁそんな帰結するものなんてなくて良いんじゃねーかなって思いなおした。
撮りたいものはあるんだけど、ちょっと撮れるかわかんないものが多い。巡り合わせ的な要素が強い。
まぁ、自分の半径5mくらいしか撮ってないから動くしかないんだけど。無理せずやっていこうかなと思っている。
久しぶりにPay money To my Painのライブ映像を見ていたら、Kが「無理せず毎日ちょっとずつで良いんだよ」ってMCで言っていた。そういや、忌野清志郎もおんなじこと言ってたなって懐かしかった。

 Keep Shooting

年に一回、自分たちのやりたいテーマで展示できたら楽しいよなってノリで始まった展示。
このタイトルでやるのは5回目、その前にカフェのテラススペースでやったのも含めたら6回目になる。

今までは女性を撮った写真を並べていたのだけど、今回は原点回帰というかスナップを並べる。
大全紙に引き伸ばすと、写真の情報量が小さなフォーマットよりも増える。今回はたまたま135判で撮ったものばかりで、いつも撮っているエリアで撮った写真ばかりだ。
どこかにわざわざ撮影しに行った写真よりも当たり前のように撮っている街を並べる方が良いんじゃないかなって思っていたら、割とみんなそれぞれの「いつも」を出してきたのが面白かった。大全紙直張りという見せ方はなかなかストイックかもしれない。
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手焼きのモノクロームを続けてきたからこそ、わかったこともたくさんある。
人が言葉にして教えてくれることよりも、自分でやってみて理解したものの方が強いと信じている。
この展示はその答え合わせでもあるし、祝祭でもあるし、踠きでもあるし、足跡でもある。
be-lab-gallery.com

 気がついたら6月が終わっていた

6月があっという間に過ぎ去ってしまった。
大事な時間はあっという間に過ぎてしまう。
変わらないでいてほしいって気持ちが最近どんどん強くなっていくけど、変わらないものなんて何もない。

近くに川もないのに何故か庭の塀の隙間にアマガエルがいた。
お前どっから来たんだ…って可愛い背中を撮った。

もう10年近く使っているGRが調子悪くなって、いよいよ新しいGR買おうかなって気運が高まったけど、結局買わなかった。
なんか違和感を感じた。

いろんな違和感を抱えながら生活している。
写真を通じて、知らない世界を覗きたいなって思う。
知らない世界に踏み出す言い訳っていうかきっかけ作りに時間とお金を使いたい。
撮りたいものはまだいろいろある。