去りゆく2021を思い返す

2021年はどんな年だったんだろう。
写真は相変わらずよく撮ったけど、展示の機会は企画展参加が2件、企画した展示が1件だった。
2020年は企画展参加が5件、企画した展示が1件だったから割と減った。少しそこは物足りないなーと思いつつ、プリントして展示に持っていきたい気分でもなくて少し内省的な時期が多かったから、仕方ない気もする。
その代わり、とてもいろんな写真展に足を運んだし、ブックフェアにも出かけて知らなかった写真家の人をたくさん知れた。
f:id:nowarl:20211231144910j:plain
昔から大好きだった写真家はもっと好きになった。

毎年恒例になっている展示「B.L.T」後の記事も書いたけど、自分のリアルな写真活動を知っている人たちから本当に良い「気づき」の機会に恵まれた1年間だったと思う。

「機材」ではなく「機会」に投資したいと思っていたから、そこは達成できた気がする。けど、もっといろんなことがしたいなーという欲が出てきた。


今年ほんとよかったなーと思っていることは、時々思い出したように投稿しているライカのオンラインギャラリー「LFI Gallery」で12ヶ月一度も欠けることなく認定され続けたこと。これは勝手に自信になった。
apply rouge
自然に撮った写真が選ばれると尚更嬉しかったけど、特にこのカットが選ばれたのはかなり驚いた。


それと、なんだかんだでいろんなところへ行けたこと。コロナ禍だから何もできないって呪縛は今年割と晴らせたと思っている。もちろん、感染拡大防止の邪魔になるような無謀な旅程は組んでいないし、ありえないけど。
mothers & sons
年の瀬にのんびり1人で沖縄に行って、ただ普通に街に溶け込んだように何も特別なことをしないで写真を撮っていた日々とその選択をできた自分が嬉しい。


2022年はどんな年になるだろうか。もっと色んなところへ行って、色んな人と関わって写真を撮りたいなーってただそう思っている。
来年も「機会」と「気づき」に恵まれますように。

 大人になってもわからないものはわからない

いつか願いは叶うとか、夢は叶うとか、行動しなければ何も起きない。
どうすれば良いかを教えてくれる人なんて実はそんなにいないし、いたとしても見返りが必要になる人がほとんどだ。
無償で願いを叶えるために動いてくれる人って実は親くらいしかいないんじゃないかと思う。
最近、新幹線のアナウンスで「お客様同士の諍いが増えている」とアナウンスを聞いた。みんな余裕がないんだろう。
f:id:nowarl:20211212230725j:plain
10月にもう6年以上愛用していたGR10が壊れてしまって、綺麗な予備機は用意していたんだけど、あまりにショックでフィルムの消費量がガクッと落ちた。
海外では直してくれる工房があるという噂をもとに、直してくれそうなところに片っ端から英語でメッセージを送ったら、受けてくれるところがあって、先日やっと帰ってきた。丁寧に直してくれていた。今回はシャッターとLCDを直してもらったけど、ファインダーのバルサム剥がれも直せるらしい。恐るべし海外工房。
f:id:nowarl:20211212230751j:plain
焼肉に行きたいなーって思っていて、久しぶりに近所の焼肉屋に行ったら「タンがないんよ」っておばちゃん店主。
ええ、なんで…牛肉高騰の煽りで、以前の価格で出せないから出せないって…。なんか印画紙も一部値上げって聞いたし、物価上昇待ったなし。
f:id:nowarl:20211212230819j:plain
年明けに出す展示のために2016年からの5年間のネガをひっくり返しつつ、保管していたRAWも片っ端からチェックしていったら、なんとなく自分の心地良い画角というかフレーミングがわかって面白かった。
継続していこうと思った。
継続したらどうなるのかわからないし、どこに到達したいのかもわからないけど、とにかくもっと良い写真を撮りたい。

 本当に撮りたいもの

散々ワクチン接種したら普通の生活に戻れるって言っておいて、いざ普通の生活に戻ったら、微妙に不謹慎な感じのするこの感じ、なんかおかしくない?
そんな気持ちを抱えながらも、それなりに普通の生活に戻って行こうとしている。身近なところではテレワークが減ったりしていて、割と会社に行かない日々でも何とかなっていた仕事なので、「え、今更戻すって退化じゃん、平成じゃーん。今は令和だよ」みたいな気持ちでいたりする。
そんなある日の金曜日、「そうだ、伊豆に行こう!」って行ってきた。なぜか行く前に散々事故に遭う夢を見ていたので超安全運転で行った。
f:id:nowarl:20211030204601j:plain
f:id:nowarl:20211030204834j:plain
f:id:nowarl:20211030202140j:plain
f:id:nowarl:20211030201401j:plain
f:id:nowarl:20211030202213j:plain
f:id:nowarl:20211030202134j:plain
f:id:nowarl:20211030201407j:plain
なんで伊豆なのって、自分が初めて一人旅で行ったのが西伊豆で、本当にめちゃくちゃ楽しくて、自由だったから。
ちょっと疲れたら近くにいくらでも温泉があって、何もしなくても、ビール飲みながら富士山が見える浜辺で海見てたり、空見てたりするだけで気が楽になる。
初めて行ってからほぼ毎年行っていたのに、去年行けなくてなんか負けた気がした。コロナにじゃなくて自分に。
ボーッと写真撮ってるときに、ふと気づいたけど、これって過去の自分への逃避なんじゃないかなって。
いつか楽しかった思い出をなぞって上書きして忘れないようにしてるんだ。ホコリかぶらないように。
なんかカッコ悪いけど、まぁそれでいいじゃないか。

 写真を巡る日々の散文

展示が終わってから、いろいろなことがあって、「ちょっと撮れないな」って気分になっていた。
純粋にバタバタ忙しい日々があったとかってのもあるんだけど、ちょっとブルーな気分になっていて、いつも持ち歩いているGRも持ち歩かない日もあった。
何かに悩んでいたわけでもなくて、ただ撮れない気分だったんだけど、今まで写真を撮り始めてこんなことは初めてで、自分でもびっくりしてしまった。
8月まで毎月10本前後のモノクロフィルムの消費量が9月はたったの1本だった。
とはいえ、別に写真が嫌いとかってわけでもなかったし、常にかっこいい写真を見ていたい気持ちはずっと持ち続けていたから、アート系の出版社のホームページとか写真集をメインに扱う書店なんかでいろんな写真集を買い漁っていた。
その中で、勝手に運命的だなって思ったのが、今回すごい気に入って買った写真集が、以前何撮れば良いんだろうって気持ちになっていたときに書店で出会って、感動した「写真の中の君は何を見ている」の松尾修さんの写真集だった。基本的に、アーティスト名で音楽や写真は買わないようにしているから家に着くまで気づかなくて、写真をめくっていて既視感にあれ?ってなってもしかして!って。すごくこれは嬉しくて家で一人で感激した。
なんだかいろんな写真集を家で見ながら好きな音楽を聴いていると元気が出てきて、写真撮ろう!って気持ちになった。
f:id:nowarl:20210920213533j:plain
f:id:nowarl:20210920213551j:plain
f:id:nowarl:20210920214326j:plain
f:id:nowarl:20210920214423j:plain
f:id:nowarl:20210920214457j:plain
あとなんか、SNSとか展示とか、そういう第三者に提示せずに自分のお守りみたいな、もっともっと身近なものをもっと撮っておきたいなって気持ちになった。
いつか見返して、ホロっときてしまうような写真。記録と記憶の両方に刺さるような。
いずれにしても、なんかモヤモヤして撮らなかった期間に、いろんな写真を見てすごく楽しくて、かっこいい写真や綺麗な写真や恐ろしい写真に出会えて本当に良かった。


 Spatial Photo

写真展をした。
今年はいつもよりも並び方とか、何を見せたいかとか色んなことを考えた。いつもは暗室でキャビネに焼いたものから良いカットを選んで、試行錯誤しながら焼いていくんだけど、今回は先にイメージを作ろうってことで、トリミングとか色んなことをする前提でイメージを考えようとした。
頭の中でいくら考えても、あんまりぴんと来るイメージが作れなくて、これはダメだなって思って、一度ほぼ全コマキャビネにプリントして、それをスキャンしてLightroom上であれこれやってみて、コンビニプリントで印刷してハサミで切ったりしてギャラリーに並べたイメージとかを作り込んだ。

実は今回の写真展に備えてデジタルカメラで撮ったものをもとにフォトブックを作っていて、ちょうど並べるイメージができてプリント作業を始めた頃に届いた。見返したら数週間前にオーダーしたフォトブックも、似たような構成になっていた。
フォトブックと展示は全く別のもので良いって考えていたし、デジタルとフィルム別だと思っていたけど、結果として同じイメージを覗いていたのが不思議な気持ちだった。
f:id:nowarl:20210814000403j:plain

f:id:nowarl:20210814000703j:plain
展示するにあたって、これ、誰に見て欲しいんだろうって考えて、もちろん多くの人に見てもらえればそれがベストなんだけど、今回はヌード作品を並べたこともあって、とにかく写ってくれたモデルさん、普段撮らせてもらっているモデルさん含めて自分の写真活動をリアルに知っている人たちに特に見て欲しいなって思っていた。
わかりにくいステイトメントを置いたけど、とにかく1月に撮らせてもらった写真を含めて半年近く同じフィルムの中で試行錯誤して展示するって、とってもスペシャルなことだと思っていて、まずそのテーマを与えてくれた撮影させてくれて、自分に気づきを与えてくれたモデルさんへ、そしてもちろん来てくれた人たちへ、ありがとうっていう感謝が大きかった。

今回の展示、とても嬉しいことがたくさんあったけど、特に嬉しかったのが2年ぶりにあった旧友から「やめようと思ったらいつでもやめるタイミングあっただろうに続けることがまず凄いし、とうとうやっぱり裸婦撮ったかって思う」って言われたことかな。
昔の自分しか知らない人に、そう言われたのが、なんとなく「自分らしさ」なんて自分では分からないけど、らしさが伝わる展示だったのかな?って思って嬉しかった。
終わったばかりなのに「来年はどうするの?」って聞かれたりして、来年も形は違ってきても同じタイトルでやろうと思っている。タイトル変えないのは、なんか自由っぽくて好きだから。


そうそう、展示のプリント期間、西宮でやっていた石内都展に何度か行って勝手に励ましてもらっていた。
R0010694
「写真のゆくえ」がどこかわからないけど、これから先もずっと物質として残る写真=プリントはあり続けると信じる気持ちを強く持つことができてとっても励まされた。石内都は自分のスーパースターなので、素晴らしい会期でやっていただいて大感謝だった。


嗚呼、人の写真を撮りたい。人を撮りたい。

 俺の愛車と他人のために踏むブレーキ

乗っている車に愛着はない。たまに蜘蛛の巣が張っているし、野良猫の足跡がボンネットについているし、たまに野良猫がボンネットで寝ている。
むしろその野良猫への愛着のほうがあるから、「お、今日も気持ち良さそうやな」と一瞥して家に入るレベル。
洗車だってしない。半年に一度のディーラー点検の時に洗車機でやってくれる。
ガソリンスタンドにだって行かない。年間走行距離が3000kmほどなのに航続距離が900km前後だから。
そもそも別の車を買おうとして、一応相方をディーラーに連れて行って買う予定だった車に乗せたら、「絶対嫌だ!」とゴネ始めた挙句に、MINIかSMARTが良いって言ってたのに…とか、SUBARUにも行きたいとか言い出して、今日契約だ!くらいのディーラー営業マンと自分は劇焦り。
そこから地獄の全ラインナップ試乗…。今の車を相方はとにかく気に入り、試乗車と同じ色、同じグレードを買うことになった。なんなら試乗車にのって帰りたいとすら言っていた。
L1022153

サービスメンテナンスでディーラー営業マンから乗り換え打診含めて1グレード上の車種を代車にあてがわれた。
乗った瞬間にあれ、これじゃないな感が自分の中で結構あって、慣れる慣れないの話じゃなくて、あーこれ違うわ…と思いながら運転していた。
いつも乗っている営業車も違うなーって思いながら運転してるけど、それよりも違った。これは感覚の話。

いつもと違うと心の余裕が生まれない訳で、いつもなら絶対に譲っている場面でもブレーキのタイミングが悪くて譲り損ねたりした。

代車から自分の車でディーラーから帰る途中、いつもの運転をしていたら、3回も他人から感謝された。
ただちょっと道を譲ったり、横断歩道に歩行者がいたから停車して促したり、自転車を先に渡らせただけなのに。
感謝されると嬉しい。ちょっとハッピー。しかも大したことしてないのに。ただブレーキを少し踏んだだけ。
R0070381

心の余裕がないと思いやりなんて生まれないんだなって思った。
最近、他人のためにしたことで逆に怒られたり、サイコ野郎みたいな人間と時間をともにしてしまってモヤモヤしていたけど、ちょっと気が楽になった。
音楽もかけずただロードノイズとエンジン音に揺られるドライブだったけど、それが良かった。

 全てのジャンルで入門編はあり得ない

ヨルタモリという番組でタモリ宮沢りえが「入門編としてあまりジャズ聴いたことない人たちが聴くにはどういうのがいいんですかね?」という問いかける。その答えが「全てのジャンルで入門編はあり得ない」
そして続ける「できれば若いうちに経済的に許すことができるのであれば、最高のモノを知っておいたほうがいい。頂点を極めれば裾野が広がる。頂点を知ることでいろんなものが良くなる。いろんなものを許すことができる」と。
いつもお世話になっているカメラ店でも、かつてお世話になっていた自転車店でも全く同じことを言われた。とにかく若いうちに若い感性で最高のものを自分のものにして体験して欲しいと。
img806


イカを買った後輩が純正レンズが買えないからフォクトレンダーのレンズを買おうとしていると聞いた。余計なお節介で、エルマーを友情価格で譲った。性能なら絶対にフォクトレンダーが良いと思うけど、せっかくなら純正を使って欲しかった。そしてなんだかんだでエルマーは最高のレンズのひとつで、ひとつの答えかもしれない深いレンズだと思うから。
所有していた間、旅レンズとしていろんなところを一緒に旅した愛らしいレンズ。飽きられたらまた戻ってこい。
000531150017


写真に写っているものは全て過去のもので、それも自分が意図して残した瞬間だから居心地が良い。
Lightroomを遡っていくと自分のストーリーがそこにあるようだ。
でも、やっぱりブルーライトの向こう側からドットで届けられる情報よりもプリントで見たいなと思う。
プリント済みのキャビネを保管している箱をたまに開いて、少し気取った酒を飲みながら、写真を眺めているのが実に健康的だと思う今日この頃。