まとめきれない2019

こんなに長い一年久しぶりだったなーと思うくらい色んなことがあった一年だった。
写真関係で言えば、3人展「B.L.T」にむけてポートレートを撮り始めたこと、その延長で今更ながらTwitterを始めたこと、3人展が思いのほか好評に終わったこと、あこがれている写真家さんと再会できたこと、いろんな写真関係の人たちと出会って楽しかったこと、いろいろ数えればキリがない。
機材の面でいうと今年は驚くべきことにレンズもボディも何も買わなかった。
※よくよく考えてみたらGR1sを買っていたw
正直、経験に投資したいって気持ちがめちゃくちゃ強くなったのと、もっと持っているカメラを使い込んでやろうって気持ちになったから。
その甲斐もあってか、自分的にはけっこう色んな事やったなーって気持ちが強い一年だった。


上半期はとにかくマキナ67でポートレート撮って暗室で焼いてた。バライタ大全紙でギャラリーを埋めたのはほんとに良い思い出。
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下半期、ちょっと暗室に入る時間が減ってしまったのは残念だったなーと思う。アクロス2が秋口に出ると見込んでフィルム買い込まなかったから、だれが悪いって富士フィルムが悪いと思う...笑
やりたいことをもっと突き詰めるのと、継続し続けたい。
来年もまた写真展をする。もっとカメラ片手にノープランな旅がしたい。いろんなものが撮りたい。
やりたい衝動・目標を現実にしていきたい。

最後に今年の気に入っているモノクロームを。
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デジタルだろうがアナログだろうが、カメラがなんだろうが、来年も楽しい写真生活を送りたい。
では、よいお年&よい写真生活を。

 ひとつで終わりたい

今、手元にあるカメラが何台あるだろう。
人によっては洋ダンスのような防湿庫の中に満載っていう人もいるだろうし、いやいや、一台だけですよって人もいるだろう。
初めてカメラを買いに行く人についていく機会があったけど、じつはレンズ一本とボディ一つだけで写真ってずいぶん楽しめるよねって思った。
よく、カメラを買う人に「何を撮るの?」って聞く人がいるけど、野暮にもほどがあるでしょって思う。
何を撮りたいかなんて決めて写真撮ってる人がどんだけいるんだよってね。
好きなカメラ買えばいいんだよ。で、その一台をずっと使い続けることが写真うまくなる一番の近道だと思う。

https://www.flickr.com/photos/126161047@N02/49186698531
https://www.flickr.com/photos/126161047@N02/49186200408


自分にとってスペシャルな一台をもって街へ出よう。
一台で終われなかった不幸な皆さん、その日ご機嫌に過ごせたカメラがあれば「あー、これだけあればほんと他はいらないわ」って一瞬思うよね。
一瞬ね。
あぁ、ひとつで終わりたかった。

 それ、プリントしたらどうですか?

SNSやWEBに溢れる写真って、ふとした瞬間に流れていって「あの素敵な写真は何処へ…」となることがある。
「いいね」から辿ろうとしても、例えばそれが半年前のものだったら大変。つい最近、実際にふと「あの人のあの写真見たいな」と思うことがあったけど、結局探し出せなかった。
溢れて消えていく「名残惜しい写真たち」の中から、せめて自分の撮ったものだけでも繋ぎ止めるためにはどうしたものか。
自分はやはりそれはプリントしかないと思っている。
モノとして残る強さっていうのは確実にあると思っていて、いつか見返したい写真は積極的にプリントするようにしている。
撮ったけど、何にもなれていないただのデータって意外とあるでしょう?
https://www.flickr.com/photos/126161047@N02/48923517042
https://www.flickr.com/photos/126161047@N02/49003665271
Leica DII Summer 50mm/f2.0 Ilford HP5Plus
Plaubel MAKINA67 Nikkor 80mm/f2.8 Ilford HP5Plus

プリントするかしないかっていうフィルターがまずあって、プリントしたものを残すか捨てるかのフィルターがあって、それを部屋に飾れるかどうかっていうフィルターがかかっていくと、それなりに残っていくものはその時の自分の写真の到達点だと思う。
自分の場合、暗室でほぼ全てが完結するのが楽だからフィルムで撮影したものをプリントすることがほとんどだけど、最近、結構会心だなって思うカットをiPadで人に見せたら「それ、プリントしたらどうですか?」って言われてしまった。
そりゃそうだな。デジタルだろうが印画紙に焼き付けてしまえば写真は写真なんだから。

 ドキュメンタリー

中平卓馬ドキュメンタリー映画を見る機会があった。
ちょうど中平卓馬の写真集をもらったこともあって、相方さんから勧められたんだ。
実は勧められたのは二度目なんだけど、中平卓馬の写真が今までずっと「怖い」と思っていたので一度断った。
でも、結局見て、とても感動してしまって泣きそうになった。


「カメラになった男 写真家 中平卓馬
この中で自分が一番感動したシーンは、沖縄で東松照明の写真展の題目であった「写真の記憶と創造」を激しく批判した場面。
写真はどこまでもドキュメンタリーだっていう姿勢が写真に対してピュアだった。
森山大道も「写真は現実のコピーだ」っていうことを言っていたけど、個人の表現・創造のための写真が巷に溢れかえっている中、中平卓馬の姿勢は痛快だった一方で、突きつけられている気持ちになった。


何を撮るとか、何で撮るとか、誰が撮るとかではなくて、もっと生々しいものが大事なんだと思った。
超抽象的だけど。
山盛りのリバーサルフィルムが映されていたけど、やっぱり数のないところに質はないんだよ。

https://www.flickr.com/photos/126161047@N02/48814969012
帰りに京都大学熊野寮の前を歩いていたら”粉砕”された立て看が束になっていた。


もっと剥き出しの写真が撮りたい。撮れるようになりたい。

 「必ず壁にぶつかるからね」

最近でもないけど、自分の撮りたかった写真ってなんだったんだろうって考えることが多い。
あと、本当に楽しく写真撮れてる?って。

写真展をやって疲れたってのはあるけど、継続して撮り続けていたんだけど、嫌なことがあって立ち止まろうかと思っている。
で、そもそも何撮りたかったんだっけ?と答え探しに、想い出の地である尾道へいった。
https://www.flickr.com/photos/126161047@N02/48698804398
https://www.flickr.com/photos/126161047@N02/48699318912
あと、いろんなことを思い出そうとした。
なんで写真やろうって思ったんだろうって。
憧れの大先生たち、石元泰博の言葉や森山大道の言葉を思い返していた。

そういや、「自分のカメラ」を初めて買おうとしている後輩に、いつものカメラ屋の主人が言っていた。
「これは良い趣味やと思うよ。でもね、一生懸命やれば必ず壁にぶつかるからね。絶対に壁はあります。でも、身近に頼れる先輩おるんやから何でも聞いて乗り越えて行ったらええやん」って。
https://www.flickr.com/photos/126161047@N02/48742746622
流れに身を任せてなんでも楽しく撮れると良いよね。


Ricoh GR GR Lens 18.3mm/f2.8

 記録としての写真

失われてしまうかもしれない何かを留めたいって思ったら、一番自分にとって簡単な方法は写真だった。
カフェイン中毒で偏頭痛に苦しむレベルでコーヒージャンキーな自分にとって、個性的なロースターが揃う京都はなかなかに幸せな街。
気に入ったロースターから豆を買って家でも淹れてるけど、そのうちの一軒が近々店を閉めてしまうと知った。
四条河原町の片隅にあることもあって、ライカ京都店にカメラを預けた待ち時間やポートレート撮影の休憩なんかでよくお世話になった。
何度も通っていたとしても、お店の人と必要以上のコミュニケーションをしないっていうのが何と無くマイルールなんだけど、今日ばかりは「もしかしたら来れるの最後かもしれないので、店内の写真を撮らせてください」とお願いして撮らせてもらった。

https://www.flickr.com/photos/126161047@N02/48565857602
https://www.flickr.com/photos/126161047@N02/48565857772
https://www.flickr.com/photos/126161047@N02/48565713356

京都らしい団扇もありつつ、SONIC YOUTHのレコードが飾られていたり、カウンターや壁の感じがバーっぽくて好きだった。
もちろんコーヒーも本当に美味しい。
そしてマスターの接客が本当に丁寧で大好きだった。
もっと行けばよかったとちょっと後悔もある。
ありがとう、MonoArt coffee roasters。
独特の雰囲気が京都らしくて大好きだった。

https://www.flickr.com/photos/126161047@N02/48565818086

Leica M Monochrom Summaron 35mm/f3.5

 この世界はそれほど腐ってはない

三人展「B.L.T」も無事終わった。
今回はいろんな人に来てもらって、感想をもらえたのが嬉しかった。
いつもながら、制作途中とか搬入直前とかって気分がもの凄く落ち着いてしまっていて、高揚感なんてないし、自分の中での批評性の高まりすら感じる。
ブルーな気分で始まって、ホッとして、反省して、次を考える。そんな感じ。


停滞していたくない。もっといろんなものが撮りたい。いろんなところへ行こう。
小さなお気に入りのカメラ一つ掴んで、街へ出よう。
世間様なんて関係ない。
自分の基準で自分のテンポで自分のお気に入りを、自分の思うまま。

https://www.flickr.com/photos/126161047@N02/48379573476
https://www.flickr.com/photos/126161047@N02/48379717242
https://www.flickr.com/photos/126161047@N02/48231305941
https://www.flickr.com/photos/126161047@N02/48338486752
https://www.flickr.com/photos/126161047@N02/48338487102

大前提だよ。
もっと面白くて楽しいことが見つかりますように。

Ricoh GR GR Lens 18.3mm/f2.8
Leica M6 Summicron 50mm/f2.0 Fujifilm X-TRA 400