マキナ67のちょっとしたまとめ

マキナ67を持って街へ出掛けると他のカメラよりも圧倒的に声をかけられる。
ちょっと不思議なカッコいいカメラ。
「カッコいいけどどこがすごいの?」って聞かれたから、ちょっと纏め的な。

  • 夢のカメラ

ドイツのプラウベル社の経営者が高齢を迎え後継者がいないところ、「カメラのドイ」が買収。ドイグループ創始者・土居君雄氏がカメラへ並々ならぬ熱意を持っていたことから、マキナ67は生まれる。
基本設計はコニカ、レンズはニコン、マキナ67後期~マキナW67、マキナ670の製作はマミヤというカメラ界最上級のジョイントベンチャー

  • 意匠と機構

コニカの設計者である内田康男氏のインタビューによると、そもそも試作機はドイツで製作していたが、どうにもならないと判断した土居氏からの依頼でドイツへ渡ったそう。色々な試行錯誤の末にデザインが出来上がったが、ドイツ人たちが絶対に譲らなかったのが前玉のサイズだったらしい。
光学的にはこんなに大きな前玉は必要ないらしいが、意匠的に正解だったと述懐している。
また、土居氏は当時既に主流であったAEを組み込みたい意向があったらしいが、このカメラの対象ユーザーはプロであり、露出についてはその判断に任せるべきという内田氏の意向から機械式シャッターとなった。
このあたりの判断はまさに正解で、機械式にしたからこそ今でも修理が出来るし、使われる要因だと思う。

PLAUBEL MAKINA 67 CHIEF DESIGNER, YASUO UCHIDA (ENGLISH SUBTITLES)

  • レンズ

そもそも設計をコニカに依頼しておきながらレンズはニコンを使うなんて…と今の時勢でも思うが、土居氏は当初からマキナ67に搭載するレンズはニコン製と決めていたそうだ。
内田氏も一度そのニコンのレンズをテストさせてくれと頼んだそうだが、素晴らしいレンズで文句がつけられなかった…と述懐されている。
発売当時のレビューを見てもF4以上に絞った場合の描写については特に評価が高く、開放付近でも微妙なフレアが出る以外は素直な描写と評価されている。

  • 短期間に終わった製作

製作をマミヤが行なっていたが、マミヤの倒産によりマキナ67も製作が終了してしまう。
純正パーツはマキナサービスへ移管されサポートが続けられたが、名玉と呼ばれたニッコールレンズの多くは廃棄されてしまったらしい。

現在でもマキナサービスからパーツを譲り受けた修理店はネット等で少し探せば出てくる。
以前もチラッと書いたが、マキナをちゃんと取り扱ってくれるお店は少ない上に、モルト交換でさえOH並みに分解が必要なので、未整備品を買うのはちょっとリスキー。未整備品でもそれなりの値段がするし尚更ね。 ちなみに上述の修理店でのOHの場合は蛇腹交換込で約8万。
それ以外でもやってくれる店はあるだろうから、地道に探すと良い。
たまに、同じ蛇腹だからかGF670あたりを勧める人がいるけど、マキナが欲しいんだったら妥協せずに良い個体を見つけるか、OH前提で予算を用意しておくことをオススメする。
無限遠に合わせて蛇腹をしまうのは、このカメラの鉄則のはずだけど、適当に扱う中古店もちょくちょく見かける。
そういう知識すら持たない店から買って同じように扱ってしまって、距離計ズレたらかなり高くつく。
店はちゃんと選んで買うって当たり前で一番大事。