Spatial Photo

写真展をした。
今年はいつもよりも並び方とか、何を見せたいかとか色んなことを考えた。いつもは暗室でキャビネに焼いたものから良いカットを選んで、試行錯誤しながら焼いていくんだけど、今回は先にイメージを作ろうってことで、トリミングとか色んなことをする前提でイメージを考えようとした。
頭の中でいくら考えても、あんまりぴんと来るイメージが作れなくて、これはダメだなって思って、一度ほぼ全コマキャビネにプリントして、それをスキャンしてLightroom上であれこれやってみて、コンビニプリントで印刷してハサミで切ったりしてギャラリーに並べたイメージとかを作り込んだ。

実は今回の写真展に備えてデジタルカメラで撮ったものをもとにフォトブックを作っていて、ちょうど並べるイメージができてプリント作業を始めた頃に届いた。見返したら数週間前にオーダーしたフォトブックも、似たような構成になっていた。
フォトブックと展示は全く別のもので良いって考えていたし、デジタルとフィルム別だと思っていたけど、結果として同じイメージを覗いていたのが不思議な気持ちだった。
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展示するにあたって、これ、誰に見て欲しいんだろうって考えて、もちろん多くの人に見てもらえればそれがベストなんだけど、今回はヌード作品を並べたこともあって、とにかく写ってくれたモデルさん、普段撮らせてもらっているモデルさん含めて自分の写真活動をリアルに知っている人たちに特に見て欲しいなって思っていた。
わかりにくいステイトメントを置いたけど、とにかく1月に撮らせてもらった写真を含めて半年近く同じフィルムの中で試行錯誤して展示するって、とってもスペシャルなことだと思っていて、まずそのテーマを与えてくれた撮影させてくれて、自分に気づきを与えてくれたモデルさんへ、そしてもちろん来てくれた人たちへ、ありがとうっていう感謝が大きかった。

今回の展示、とても嬉しいことがたくさんあったけど、特に嬉しかったのが2年ぶりにあった旧友から「やめようと思ったらいつでもやめるタイミングあっただろうに続けることがまず凄いし、とうとうやっぱり裸婦撮ったかって思う」って言われたことかな。
昔の自分しか知らない人に、そう言われたのが、なんとなく「自分らしさ」なんて自分では分からないけど、らしさが伝わる展示だったのかな?って思って嬉しかった。
終わったばかりなのに「来年はどうするの?」って聞かれたりして、来年も形は違ってきても同じタイトルでやろうと思っている。タイトル変えないのは、なんか自由っぽくて好きだから。


そうそう、展示のプリント期間、西宮でやっていた石内都展に何度か行って勝手に励ましてもらっていた。
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「写真のゆくえ」がどこかわからないけど、これから先もずっと物質として残る写真=プリントはあり続けると信じる気持ちを強く持つことができてとっても励まされた。石内都は自分のスーパースターなので、素晴らしい会期でやっていただいて大感謝だった。


嗚呼、人の写真を撮りたい。人を撮りたい。